“本みりん”ってなに?初心者でもわかる本みりんの基礎知識

本みりんとは何か?

本みりんとは、主に日本国内で生産・消費されている、アルコール度数が14度前後の甘口の酒類(お酒)です。原料として、もち米・米麹・焼酎(連続式蒸留焼酎<醸造アルコール>/単式蒸留焼酎<米焼酎/麦焼酎など>)用い、熟成させた後に濾して作られます。本みりんは、醤油や味噌などと同様に、日本の伝統的な醸造品の一つであり、独特の甘味やコクがあり、肉や魚、野菜など様々な日本料理に調味料として利用されます。本みりんはアルコールが含まれているので酒類販売免許を持っているお店でしか販売できません。

本みりんの歴史

みりんが最初に登場したのは、戦国時代から安土桃山時代で、現存する文書にはその時代の茶会の記録や日記に記載があるそうです。みりんの誕生については中国伝来説と日本発生説の2つの説があります。中国伝来説は、中国清明時代の書物に「密淋」と呼ばれる甘い酒があったことを根拠とし、戦国時代の琉球や九州地方に伝わって「蜜淋」「美淋」と呼ばれ、日本中に広まっていったとする説。日本発生説は、古くから日本にあった練酒や白酒などの甘い酒があり、焼酎が加えられて改良されて、現在のみりんが誕生したとされています。

本みりんの産地

本みりんの有名産地として、千葉県、愛知県、兵庫県が挙げられます。特に兵庫県は、灘・伊丹など日本酒の名醸地を有しており、ここで生産された酒粕を原料として粕取り焼酎が作られ、それを使って本みりんが製造された伝統的な歴史があります。令和3年度の国税庁の都道府県別データによると、みりんの販売量と製成数量ともに兵庫県は全国上位に位置しており、みりんを消費する文化が色濃い地域だといえます。

販売量ランキング
  1. 東京都
  2. 愛知県
  3. 大阪県
  4. 兵庫県
  5. 神奈川県
製成数量ランキング
  1. 千葉県
  2. 兵庫県
  3. 愛知県
  4. 以下少量のため省略

みりん風調味料と発酵調味料とは

みりん風調味料と発酵調味料(みりんタイプ)という本みりんに類似した調味料があります。 みりん風調味料はアルコール分が1%未満であり、水あめ、米こうじ、うま味調味料などを原料にブレンドされます。
一方、発酵調味料はアルコール発酵と糖化・熟成の両方の工程を持ち、食塩を加えて不可飲処置をしたもので、本みりんに1.5%以上の塩を加えた成分が多く含まれています。 従って、みりん風調味料、発酵調味料は一般食品であり原料や製造方法について厳密な規制はなく、どちらも酒税法上の酒類には該当しないとされています。そのため酒販免許を持たないスーパーなどでは取り扱いが多く、酒税が掛からないので安価なものが多いです。

本みりんと砂糖の違いは?

糖類以外の成分が含まれている点

本みりんは、糖分とアミノ酸を豊富に含む複数の糖類で作られる多糖類、一方、砂糖は主にショ糖が甘み成分の二糖類であるため、甘い調味料であっても異なる特性を持ちます。本みりんは、料理全体にまろやかな味わいを与え、上品な甘さがあり、さっぱりとした風味が特徴とされています。

糖化熟成によってつくられる点

本みりんは糖化熟成による甘み・旨味成分を有しており、砂糖とは異なる風味を生み出します。

本みりんは砂糖より低GI

GIとは、血糖値の上昇スピードを表す指標で、低GIの食品は血糖値の急激な上昇を抑え、健康的な食生活をサポートします。
砂糖と本みりんは同じ甘味づけに使用されますが、大きくGI値が異なります。上白砂糖のGI値が109に対して、本みりんは15とGI値が低く、血糖値が上昇し難いので、本みりんは低GI調味料と言えます。健康志向な方はGIの観点から甘味づけを考えましょう。

本みりんの原料と製造方法は?

もち米、米麹、焼酎(連続式蒸留焼酎<醸造アルコール>/単式蒸留焼酎<米焼酎/麦焼酎など>)を原料とする

みりんは、もち米、米麹、焼酎(甲類焼酎<醸造アルコール>/乙類焼酎<米焼酎/麦焼酎など>)を原料として、酵母によるアルコール発酵工程がなく、米麹と蒸したもち米を混ぜて糖化熟成させ、コハク酸やアミノ酸が独特のコクを生じさせる。本みりんは原料成分が分解され、生成された物質同士が反応し、糖類を多く有し、みりん特有の風味を醸しだす。

仕込み工程

もち米は掛米として使用されます。麹は糸状菌を穀物に繁殖させたもので、醸造物の製造に利用されます。もち米、米麹、焼酎(連続式蒸留焼酎<醸造アルコール>/単式蒸留焼酎<米焼酎/麦焼酎など>)を仕込み、糖化・熟成工程で化学反応が進み、糖・アミノ酸などが生成されたものがみりん醪(もろみ)になります。糖化過程で酵素アミラーゼはデンプンに作用して甘み成分を、プロテアーゼは旨味成分を生成しています。

上槽工程(搾り工程)

醪の糖化発酵を経て、醪(もろみ)を上槽工程(搾り)経て、みりん原液とこぼれ梅(みりん粕)になり、原液は滓下げ等の工程を経て、容器に詰められて製品になります。

一般論として、上槽工程(搾り工程)は新式製法の場合薮田式圧搾機の利用が多いようです。古式製法を採用している企業は槽搾り(ふねしぼり)が一般的です。最近では各地の酒蔵で遠心分離機の導入する蔵元が増えています。遠心分離機は遠心沈降法とスクリュウデカンタ形遠心分離機があります。各酒蔵のHPを拝見すると遠心沈降法が多いです。

遠心分離機の場合、みりん粕はペースト状の柔らかい粕になります。

本みりんの甘みや旨みの成分は?

糖類(ブドウ糖やオリゴ糖など)

本みりんの甘さは、米デンプンから生成される糖化物質と米麹の製造時に蓄積された糖から複数の糖類で構成され、酵素の働きによって生み出されます。その甘さは、独特のコクと深みを持ち、醤油や味噌などの調味料と一緒に使用することで料理に奥行きを与えることができます。

アミノ酸

みりんに多く含まれるアミノ酸としては、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン等が挙げられる。

  • グルタミン酸:本みりんの甘みのほかに、うま味成分としても働きます。
  • アスパラギン酸:うま味成分として働き、食欲増進や疲労回復などの効果もあるとされています。
  • アラニン:甘味を引き立てる効果があり、体内でグルコースを作り出すための材料にもなります。

本みりんの調味料としての使い方は?

煮物や炒め物の甘みを加える

本みりんを少量加えることで、料理に独特の甘みと深い風味を与えることができます。煮物や炒め物に加えると、旨味が引き立ち、料理全体のバランスが良くなります。

タレの材料として使う

本みりんは、砂糖と醤油と一緒に調味料として使われることが多く、焼き肉のタレや、お好み焼きのたれ、天ぷらのたれなどにも使用されます。

甘みを加えたい飲み物に使う

本みりんは甘みがあるので、紅茶やコーヒーなどの甘みを加えたい飲み物にも使用することができます。少量ずつ加えて、自分好みの甘さに調整してください。

効果 付与成分
豊かな味、上品な甘味 糖、アミノ酸、有機酸など
テリ・ツヤ 糖(ぶどう糖、オリゴ糖など)
焼き色の良化 含有している糖組成
マスキング効果(嫌な臭いを消す) エタノールの共沸、糖とアミノ酸の反応物
味の浸透の良化 エタノールの呈味成分浸漬効果
煮崩れの防止 エタノール、糖

本みりんの魅力や使い方のまとめ

料理初心者からプロまで、本みりんは味の強い味方である。伝統的な製法で完成された良い本みりんは、甘みと旨みを調和させた優れた調味料です。

煮物や照り焼きなどの基本の和食はもちろん、味噌漬けやスイーツにも加えることができる。本みりんを使うことで、料理のグレードがアップし、自慢料理が増える。良い本みりんは幸せな食生活をもたらしてくれるので積極的に活用しましょう。