【備忘録】農業用の電動ラジコンエアーボートを自作し
田んぼ作業を効率化(除草/散布目的)
目次
ラジコンエアボートを作るきっかけ
今年、ある記事が私の注意を引きました。
記事中では70代の方が刈払機のエンジンでラジコンエアボートを自作し、肥料や除草剤をそのラジコンボートで散布し、作業を効率化していると紹介されていました。
この記事に触れ、「70代の方でも製作が可能なのであれば、私にだってできる!」と思い立ち、自分もラジコンエアボートを自作してみることを決意しました。
農業用ラジコンボートの利用目的
農業用ラジコンボートの活用方法としては、液剤の散布や初期除草を目的に利用されています。今回色々調べているとチェーン除草という効率的な雑草対策を紹介している記事も見つけることができました。 ただ今回はラジコンエアボート製作を第一の目標と設定しました。製作後のラジコンボートのメンテナンスの際に役立てることを想定して、備忘録として本記事をまとめました。
前提/課題
- 田んぼのすぐ近くに住宅があるので、できるだけ静かなボートにしたい。
- 田んぼが離れて点在しているので移動を考慮し軽量化したい。
- 初期費用をできるだけ抑え、メンテナンスも自分で行えるようにしたい。
- チェーン除草/散布の利用だと、稼働期間が短いという事を考慮する。
解決策
- 電動モーターを利用し、できるだけ静かなボートを実現する。
- 電動であれば軽量化も期待できる。
- 初期コストを抑えるため、汎用性の高いマキタの18Vバッテリーを利用する。
上記のような点に考慮しつつ、理想の電動ラジコンエアボート製作に取り掛かりましたが、情報がなかったので、SNSやYoutubeを活用し、とにかくたくさん調べました。
必要な材料とツール
部材
- モーター/FSD FC6362-6T 350KV
- アンプ/HOBBYWING SKYWALKER 60A ブラシレスESC
- プロペラ/APC プロペラ 18インチ
- バッテリー直流変換アダプター
- プロポ(送信機)/FUTABA T6L
- 受信機/FUTABA R3106GF-T-FHSS AIR-2.4GHz
- サーボモーター/ 防水サーボ
- XT60コネクター(オス・メスを2セット)
- 熱収縮チューブ
- ビニール平型コード60センチ(延長用)/[ホームセンターで切り売り]
- 乾電池4本
- アルミフレーム(G-fun)[G-funオンラインストア]
- アルミフレームコネクター
- アルミフレームキャップ
- アルミ複合板(アルインコ社製:300*450 t=3.0)[ホームセンターで購入]
- 平型・L字アルミアングル[ホームセンターで購入]
- ピアノ線1.75mm[模型店で購入]
- ラダーホーン[模型店で購入]
- アジャスターストッパー[模型店で購入]
- ボディーボート 37インチ
- ボディーボート用リーシュ プラグ
- プラスチック容器大小2個[100円ショップで購入]
- マキタ 18V 6.0Ah バッテリー[所有分]
消耗品
- ワッシャー1個[ホームセンターで購入]
- ステップリーマ(プロペラの穴を広げるため)
- 蝶番4個[ホームセンターで購入]
- ネジ(M4-M5の10-30を数種類)[ホームセンターで購入]
- はんだ[所有分利用]
- 結束バンド[所有分利用]
機材(ツール)
- インパクトドライバー
- ジグソー
- ペンチ
- ドライバー
- 半田ごて(60W以上が使いやすい)
- テスター
材料は詳細にまとめました。 可能な限り購入元をまとめており、Amazon、オンライン模型店、ホームセンターに集約しています。単価が1万円を超えるのは、モーターやプロポくらいで、ほかは1千円から5千円以内のものが多いです。 材料(ツール除く)を合計するとざっくり6万円前後といったところでしょうか。
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製作手順
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変換アダプターを利用してアンプに連結
基本的に赤色線にプラス極、黒線にマイナス極の電気が流れます。そのことを考慮しつつ、変換アダプターの線を剥いて、XT60のメスをはんだ付けします。
アンプのバッテリー接続線はオスを半田づけします。
ついでに延長コードも対になるように半田づけしました。熱収縮チューブで保護します。
モーターとアンプを接続する部分も半田づけしておきます。
半田づけに自信がなかったので、最初にYoutubeで勉強しました。
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アンプと接続
半田づけが終れば、アンプと接続しますが、この時アンプのモーター接続端子に熱収縮チューブで覆って、端子同士が接続しないようにしていください。ショートします。
覆っている端子にテスターを当てて、電流が来ているか確認します。
問題なければ、アンプに受信機を取り付けます。
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受信機とプロポ
説明書をよく読み込んでから作業しました。受信機の番号に気をつけながら、接続端子の向きにも注意しながら、接続します。
今回のプロポだと、3番にアンプを接続し、4番にサーボモーターを接続します。
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受信機とプロポをリンク
説明書の通りに、受信機とプロポをリンクさせます。
サーボモーターは接続しているので、うまくリンクしていれば、受信機が緑色に光って、左スティックで動作します。
もし動かない場合は、受信機に差し込んだ端子の向きと番号を再度確認します。
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アルミフレームの組み立て
アルミフレームを連結し、ボディーボートに固定するため並行に、ラダー(舵)を設置するために垂直に組み上げます。アルミフレームはG-funオンラインストアで購入できます。
アルミフレームの長さはボディーボートの長さを考慮してオーダーしてください。後に黒いプラグとアルミフレームを結束させるので、その点も考慮すると無駄のないフレームになると思います。
プロペラのサイズが大きいので高さも確保しています。
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モーターの組み立て
今回購入したブラシレスモーターは刈払機と同等の20ccです。取り扱いには十分注意し怪我をしないでください。
六角レンチを利用して、組み上げて、アルミフレームと平行アングルに穴を開けて、固定化します。
モーターを前方に設置したのは空力を考え、効率よく推進させるためです。エンジンの場合、後ろ向きに設置しているものもありますが電動で逆ピッチの大きいプロペラは少ないようなので、 この向きにしています。この方が回転方向的にネジも緩みにくくより安全だと思われます。
しっかり固定できたのを確認してから次に進んでください。
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アンプとモーターの接続
バッテリーがアンプから外れていることを確認してから、アンプとバッテリーを接続します。この時モーターに付属していたコネクタを押し込む形で差し込んで接続します。
ここも熱収縮チューブで保護します。
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モーター試運転
アンプとモーターが問題なく接続できれば、受信機、バッテリーを接続します。
周囲の安全を確保して、プロペラを取り付けずに試運転します。
電源が入ると、「ピー」という音とともに数秒後に回転し始めるので注意しながら回転するのを確認します。プロポの右側で操作します。
このタイミングでモーターを動かしたのは、モーターが固定されていないので暴れて危ないからです。
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ラダーの組み立て
アルミ複合板を半分にカットして、アルミフレームともに穴を開けてボルトで止めます。この際アルミフレームコネクターの存在を考慮して穴を開けましょう。
ラダーホーンをアルミ複合板に取り付け、ピアノ線、アジャスターストッパーを活用して、アルミ複合板同士を連結させます。連結させると、同じ方向にラダーが連動するようになります。
この連結したピアノ線とサーボモータを連結し、サーボモーターの動きに連動させます。
今回は振り幅を考慮すると、サーボアームだけではラダーの可動範囲が狭かったので、平型アルミアングルで延長しています。
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サーボモータの固定
L字アングルを利用して、ネジと結束バンドを利用して固定しました。
もっとよい固定方法があると思うので今後の課題とします。
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アンプの固定
アンプは熱を持ちやすいため、プロペラの風が当たる部分に固定しました。
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プラスチック容器を用いて配線
水に弱い受信機とバッテリーは水対策に容器にいれます。配線のために一部穴を開けてテープでとめました。
各容器は、ネジや余ったピアノ線を利用して、運転中に動かないように固定化しました。
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ボディーボートに穴あけ
プラグを利用して、アルミフレームとプラグを結束バンドで固定します。
そのために、ボディーボートの平な部分に穴を開けて、プラグを差し込みます。(裏面の状態も要確認)
プラグの紐通し部分に結束バンドを差し、アルミフレームを固定します。
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プロペラの穴
プロペラを取り付ければ完成ですが、プロペラが付属のシャフトに通らないと思います。
この場合、ステップリーマを利用して穴を広げます。きれいに垂直に穴あけしてください。
もし旋盤をお持ちなら、シャフトを削れば良いと思います。
穴が開けばワッシャーを利用しつつ、プロペラを固定します。
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試運転
水辺に移動して、周囲に注意しつつ試運転
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チェーン除草部品の製作
アルミ材とリング、チェーンをホームセンターで購入。
チェーンのカットが手間なのでホームセンターで依頼。
ポイントと注意点
- アルミフレームやその他パーツの軽量化も色々悩みましたが、試運転の結果、問題なく走行しました。ブラシレスモーターも刈払機と同等の20cc相当ですので、力強さを感じました。モーターの適格スペックはLi-Po6セル(約22v)で通常電流77Aまでなので、現状60%程度の出力だと思いますが満足です。Li-Poバッテリーを使用すると高出力ですが、専用充電器購入する必要があり、またメンテナンス性が良くないので年に1ヶ月だけの利用ということでマキタバッテリーを使用しています。
- アルミフレームは今回オンラインストアで発注しました。近所にあるDCMというホームセンターでも定格サイズの取り扱いがありました。
- 液剤や粒剤を5kg以上搭載して走行する場合は、モーターやアンプ、バッテリー等の各スペックを上げる必要があると思います。スペックアップを考慮するとアンプは100Aのものを購入した方が良かったかも知れません。
- バッテリーは30-40分の走行で半分程度消費していました。満充電の場合2ha程度であれば作業できると思われます。
- プロペラの周りに保護具が現時点ではないです。理由は電動のプロペラの場合、直径が大きいため、保護するパーツの部材をどうすればよいか検討しているためです。おそらくアルミ材で直角に保護して、網をとりつけることになるかと思います。
- アンプの設置をプロペラ後方にしていたおかげか、連続運転でもアンプを触っても熱くなかったです。
- 今回プロポは、今後の作業での応用を考慮して、スティック型の6chに対応したものを選定しています。直進/曲がる機能だけが必要であればRCカー用の3chプロポでも良いと思います。お値段も大きな差がないので今回の6chプロポで良いかとは思います。
- 防水対策はしっかりしましょう。シュリンクフィルムをアンプに巻くか思案しています。
今後の検討事項及び改善点
- ジャイロセンサーの取り付け
- バック及び左右旋回の操作性向上を検討
- 保護具の取り付け
- 圃場間移動の台車をアルミフレームで製作
成果の報告
思いの外、安くて良いラジコンエアボートが製作できました。より安価にボートを作れると思うので、イニシャルコスト/運用コストを考慮してパーツを選ぶと面白いと思います。
記事の最初に記述した課題事項も考慮でき、電動化したことで静音化できています。実際モーター音/風切り音はしますが、刈払機のエンジン式よりはボリュームは小さいはずです。
製作時間は、調査に時間を要したため合間作業で約3週間程度かかりました。じっくり調べたお陰で、今後のメンテナンスも自分で出来るようになったので良かったと思います。
今後は上述した検討事項を1つづつクリアしていきたいと思います。
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